今週の日経平均株価は大きく下げました。ここ数ヶ月続いたレンジ相場からついに抜け出たと考えられる兆候です。
日足チャートとボリンジャーバンド(日経平均)
自分は、毎日 radiko でラジオ日経第1のマーケットプレスを聞きながら取引をしています。今週、窓を開けて下放れた日経平均株価について、識者はボリンジャーバンドをさかんに取り上げて ±3σ を外れることは 99.7% を外れること、すなわち、年にそう何回も起きることではないと語りました。
そうなのですよ、データ集団が正規分布に従っているとみなせれば。でも、正規分布のことを口に出す人はいません。
株価は自然現象ではないので、正規分布には従わないと考えるべきです。参考までに、上記1年分のデータのヒストグラムを示しました。(n = 246)
「正規分布に従わない」と主張するには都合が悪いことに、日足データはなんとなく正規分布っぽいのですが…。😅
大丈夫です。Q-Q プロットでみれば、正規分布にしては変な裾を引いていたりすることが見えてきます。また、Shapiro-Wilk や Dandarson Darling などの正規検定をすると解るのですが、正規分布の仮説は棄却されます。しかし、ここでは株価が正規分布に従わないことを証拠を挙げて論ずるつもりはありません。
おそらく、株価やその指標が正規分布に従わないことは、ラジオ日経に出演されている著名な識者とって百も承知なのでしょう。
それでは、なぜ人は平均値やら標準偏差を使いつづけるのでしょうか。
それは平均値や標準偏差の計算が単純で、(外れ値に左右されやすいなど)少々欠点があっても、そこそこ妥当な代表値として扱えるからです。計算リソースが貴重だった昔は、都合の良い統計値だったのです。そして、その流れを今も引きずっているのだと思います。
今週、特に昨日の下落が著しかったのですが、今週のマーケットプラスの放送で「レンジ相場が終わった」とはっきり語った識者はいませんでした。まあ、胸をはってはっきり言えないよね。
日足チャートとボリンジャーバンド2(日経平均)
ボリンジャーバンドの -3σ を突き抜けてもレンジ相場を抜けていないのでしょうか。
正規分布を前提にした統計値を使うと、上述のようにいつもモヤモヤしてしまうので、個人的には正規分布を前提にしないメジアン(中央値)の統計(ロバスト統計)を平行して使っています。平均値・標準偏差にある程度レンジを揃えるために定数を乗ずる統計的な考え方もありますが、どうせ個人的に使うだけだからと、そのまま median と IQR (Q1, Q3) を使っています。
平均値・標準偏差を median, IQR に置き換えたボリンジャーバンドが以下になります。2 月 28 日の日経平均は下側の外れ値です。下落の程度こそ違っていますが、昨年 8 月 5 日の急落時と状況が似ています。いや、昨年 4 月 19 日の急落時の方がもっと状況が似ているのかもしれませんが、過去と比べても参考程度にしかならないでしょう。
来週以降、このまま下がりつづけるか、それとも急激に戻すか、それは判りません。金曜日は外れ値で一過性だったのか否か、来週は注視したいです。個人的にはトランプ氏に振り回されている世界情勢を鑑みて、日本もようやくレンジ相場が終わり、新たな相場局面に移るのではとみています。
今朝の米国株式市場の結果がヒントになりそうです。参考に今朝のフィラデルフィア半導体株指数のチャートを示しました。木曜日に大きく下落しましたが、金曜日はあまり戻ってきませんでした…。🤔
ローソク足チャートおよびヒストグラムは Yahoo Finance のデータを利用して作成しました。
参考サイト


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